思ったより怖いインフルエンザ

2017.01.07 Saturday

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    インフルエンザは日本では毎年およそ12月から3月まで流行し、国民の10人に1人(総数1千万人以上)が感染し、直接的または肺炎などの合併症により間接的に死亡する方を合わせると毎年数千人から1万人超の死者を出す怖い感染症です。
    今回はインフルエンザ治療薬と予防接種についてお話ししたいと思います。

    現在使用されているインフルエンザ治療薬は、インフルエンザウイルスの増殖スピードを抑える効果があります。つまり「今以上に増えないようにする」薬です。直接インフルエンザウイルスを退治してくれるわけではないので、その効果は限定的です。また、インフルエンザウイルスは発症後48時間程度で増殖が完了し、その後は増殖済みのウイルスがつらい症状を引き起こします。したがって、48時間以内にインフルエンザ治療薬を使い始めないと効果がありません。


    実際の効果は、予防接種未接種のインフルエンザ患者さんは平均約5日間の高熱が出ますが、インフルエンザ治療薬によりこれが平均約3.5日に短縮するとされています。また、インフルエンザ脳症や肺炎合併などの重症化、さらには死亡数を減らす効果は証明されていません。「特効薬」と呼ぶには程遠い状況です。

    一方、予防接種にはこの重症化を防ぐ効果があります。発症を7〜9割少なくし、重症化を3〜7割減らし、65歳以上の死者数を8割減らすという報告もあります。インフルエンザウイルスを退治してくれるのは人間の免疫(抗体)だけですが、予防接種をしておくと発症前から抗体の準備ができているため、ウイルスが増えるはじからこれを退治してくれるのです。


    そのため予防接種をした方が発症しても発熱や症状は軽く、有熱期間は平均2〜3日程度、治療薬を併用すると1〜2日程度になります。「予防接種を打ったけど罹った」とこぼす方もいらっしゃいますが、実際には発症の確率は半減しており、発症後の症状も軽く済んでいるのです。今年罹った方もこれに懲りずに来年も予防接種をお勧めします。

    重症化しやすいのは、乳幼児、65歳以上の方、妊婦、基礎疾患のある方(慢性の肺の病気、気管支喘息、心疾患、糖尿病など)です。また、妊婦が感染すると流産や早産が増え、胎児の脳に後遺症が残った例も報告されています。
    予防接種はインフルエンザ治療薬よりも強力な「特効薬」です。これらの方やその身近にいる方は、予防接種を受けて、正しい知識でインフルエンザシーズンをうまく乗り切りましょう。

    最後に、解熱鎮痛剤の中には症状を悪化させたり脳症の発症を増やすものがありますので、インフルエンザ感染の可能性が否定できない時期にこれらを使う場合は医師や薬剤師にご相談ください。

     

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